自己愛性人格障害の人の前頭葉
脳は前頭葉、扁桃体、海馬、運動領野等、様々な機能を持った物が集まっています。その中でも前頭葉は思考や判断等の機能を司っており、扁桃体は本能や情動を司っています。
この2つは独立した機能を持っていますが、お互いに滑らかに移行して反応を起こしている為、脳の機能の事は意識せずに物事を考えたり、本能的に動いたり、心を動かされたりします。
自己愛性人格障害の脳の状態
自己愛性人格障害の人は前頭葉に問題があり、機能不全を起こし、扁桃体が暴走する事によって特有の問題行動を起こしていると考えられています。
前頭葉が「理性」を司っていると考えると、扁桃体が司るのは「感情」です。前頭葉に問題があり、機能不全を起こすと、理性を保つ事が出来ずに感情を剥き出しにした状態になります。
また、人間は自分の命が危機状態に陥ると前頭葉の働きが弱くなり、今まで前頭葉によって抑えられていた扁桃体の動きが活発になり、自己防衛本能が現れます。通常であれば危機状態から抜け出せば自然に前頭葉の働きが活発になり、理性で自己防衛本能を抑えます。
しかし自己愛性人格障害の人は前頭葉が機能不全を起こしている為、自己防衛本能が適切に抑えられない状態がずっと続きます。
以上の事から、ターゲットにした相手に対する嫌がらせ等の攻撃は、感情が剥き出しの状態であり、また自己防衛本能が適切に抑えられない状態であるが為に起こしていると考えられます。
前頭葉が機能不全を起こす原因は幼少期に極度のストレスを受けた事によって発達障害が起こった為ではないかと言われています。
自己愛性人格障害の人の行動は、事故や脳卒中等によって前頭葉を損傷した高次脳機能障害の人の典型的症状(対人技能拙劣、病識欠如)と似ています。
しかし高次脳機能障害の人の行動はタイミングを計って問題を起こしている訳ではなく、症状も重度です。その為、タイミングを計ってターゲットに対して攻撃を起こす事が出来る自己愛性人格障害の人の前頭葉は、完全に機能していないという訳では無いと言えます。
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